大地丙太郎文庫

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踊る!柳生十兵衛 07
 菜『じゃあ…』
と、奈々、今度は大胆にも帯を解き始めました。わ、コレには解説のアタクシもビックリっ!
十『あああ、なになに? いいよいいよいいってばっ!』
帯を解いた奈々、その帯を十兵衛に差し出します。
奈『これで』
十『これで?』
菜『お金ないんで…』
十『そういうことかよ…』
そういうことかよ…と、アタクシもホッといたしました。
菜『一緒に…いさせ…て…』
そう言った菜々、言葉続かず、すっと十兵衛により掛かるように倒れます。抱き留めて、青ざめる十兵衛。
十『お、おい……おいっ』
ああ、気絶の奈々でありました。
柳生を辞めて気ままな旅に出た剣豪柳生十兵衛。弟、又十郎が自分の任務の代わりにさらって来た、豊臣の落とし胤、菜々を助けてしまった。その後サナーダ10Jr.に襲われたり、ヤクザの喧嘩に巻き込まれたりしつつ、なんとかかわしていまやふたりは呑気に茶店におりました。
菜々ちゃん、かなりながっつきで飯をかっ喰らっております。とっても旨そう。
十兵衛、おばん目を丸くして見ております。あ、このおばん、例の十兵衛をポカンとやったあの29歳の茶屋のおばんであります。
十『腹減ってたんだ…』
十兵衛の方は茶を飲みながら、菜々の様子をポカンと見ております。可愛子ちゃんががっついて飯をかっ喰らってる姿と来たらギャップ萌え〜。なんて思っているうちに菜々、2膳め、3膳め、4膳め、5、6,7膳め。積まれるどんぶり。ギャル曽根かっ!ってちと古い。
11丼重ねたところで…。
菜『はあ〜』
菜々、十兵衛に向き直りぺこりと頭を下げる。
菜『ごちそうさまでした』
さすが実はお姫様、この辺は少しお上品。
十『はい…よく食べましたね』
菜『はい、よく食べました』
十『おば…おねえさん、お支払いはまだあの刀分でいいよね』
おば『けっこうよ…あれは大分値打ち物っぽいじゃないかい……』
十『そりゃそうだよ、東照神君から戴いた家宝だもんな…』
おば『なんだいその、とうしょほほって…』
十『徳川家康公だよ』
おば『とくがわいえやす…なんか聞いたコトあるね』
十『もういいや…』
なんてちょーどうでもいい会話をしているところに割り込む甲高い声。
さくら『おひけえなすって!』
十『ん?』
見ると十兵衛の目の前に、ん?誰だこの旅がらすのおねえちゃんは?
さくら『早速のお控えありがとうござんす』
十『いや、まったく控えてはおらぬが…』
構わず続けるおねえちゃん。
さくら『手前生国と発しますところ駿河にござんす。駿河駿河と申しましてもいささかひろうござんす。駿河の国は沼津にござんす。霊峰富士のわき水で産湯を遣いその名もさくらと申しやす。きょうこう万端お見知り置きのうえ、以後よろしゅうお願いいたしやす』
そこで十兵衛思い出した。
十『おう、さっきのねえちゃん、生きてたの?』
さくらと名乗ったそのおねえちゃん、びっしと十兵衛を指差して目を輝かせます。
さ『柳生十兵衛っ!? 柳生十兵衛だよね柳生十兵衛!』
十『お!? 旅烏のおねえちゃんがなんで知ってんの?』
さ『知ってるよお〜、アタシ、柳生十兵衛の大ファンなんだからさ。あ〜、ひえ〜、モノホンだよお〜。眼帯触っていい? へえ〜、柳生十兵衛の眼帯って右とか左とかホントは片目じゃないとかいろんな説があったんだけどさ、左だ左、あははははっ!』
とかなんとかまくし立てながら十兵衛をあちこち観察するさくらおねえさん。どうやらそうとうな柳生十兵衛おたくでございますなこれは。さくらねえさん、ふと傍の菜々に気づきます。
さ『こちらのおあねえさんは? 愛人?』
十『ぶほっ!』
十兵衛、思わず茶吹き出す。
さ『やるなあ〜柳生十兵衛、ああ、いやいや、おおいに結構、天下一の剣の使い手柳生十兵衛だ、愛人のひとりやふたり、あれ? 刀は?』
さくら、十兵衛の腰を見て刀がないのに気づきました。きょろきょろ探しております。
ふと茶屋の厨房の方に立てかけて置いてある三池典太光世を見つけるさくらねえさん。
さ『おお、あったあった、ほほお〜、立派だあ〜、すげえ! かっけー! コレが柳生十兵衛の刀かあ〜。三池典太光世ってンだろ? 長いなあ〜おほほほほ、コレ、もらうねっ』と、まくし立てていたと思ったらさらっと最後に不可思議なことを言い出す。
十『ナニ?』
さくら、自分の腰の刀を指差します。
さ『さっき、折っただろ、アタシの刀。だから、コレ、もらう』
十『かあ〜、お前の駄菓子屋で買ったようなへっぽこ刀といっしょにすんなよ』
さ『駄菓子屋で買った? たははは、まあ似たようなトコだったけどさ、刀は刀だ』
さくら、三池典太光世を早速差しております。それを見た十兵衛は余裕の笑いを見せる。
十『いいよ、別に…』
さ『ほんとかっ!?』
十『ただし、この刀はこの茶屋で飲み食いした分の差し押さえになってるからな、ダンゴ代とこの丼飯十一杯分お前さんがおばさんに払えばな…ああ、あとこの茶代…』
さ『いーのかよそんなちぃっちぇー金で…』
十『いいよ…』
さ『ひえーーっやったあーーー! 言ってみるもんだなあ〜!』
十『大事にしろよ、それ柳生家が東照神君家康公より賜った由緒正しい家宝の刀なんだぜ』
さ『まーじっすか!徳川の家康さんつーたらアタシの同郷の偉いさんでさあ〜、うわあ〜運命感じちゃうなあ〜、これアタシに回ってくるべくして回ってきたんでしょうねえ〜、へへへ〜同郷神君のかあ〜』
すっかり浮かれるさくらねえさんであります。はっとカッコをつけて十兵衛の剣を抜いてみようとしますが、これが抜けない。刀の身が鞘に引っ掛かって抜けない。
さ『あり…?』
十兵衛、それを見てくすりと笑う。
十『抜けないかもしれません』
さ『木刀ですから…って落語かよっ。これ長過ぎるよ柳生十兵衛〜』
十『貸してみな』
十兵衛、さくらから三池典太光世を受け取り腰に差しますと、さっとあっさり抜いて見せました。
さ『あら?あっさり抜けるじゃねえか』
さくらねえさん、も一度抜いてみる。やっぱり抜けません。
さ『どうやんだろうなあ…???』
と、その時。
美『やぐーずうべえーーーっ!』
と、ぼろぼろの美影が抜き身ぶら下げたままやって参りました。
手を上げて迎える柳生十兵衛。
十『おー、美影え〜、生きてたあ〜 さすがは柳生忍軍の美人くの一』
美『ばかやろーーーっ!』
美影、十兵衛に斬りかかります。
十『うわっ、なんだよいきなり!』
すらりとかわして十兵衛が言います。
美『いきなりじゃねえ!』
美影、泣きながら十兵衛に斬りつけ、十兵衛は必死でよけております。
十『おま、本気じゃねえかよっ』
美『ばかあっ! 十兵衛のばかやろおっ! 斬られろ〜!』
がぼっ!
十兵衛さん、美影の口にイモをぶち込みました。
がっしっ!
すかさず美影を抱きしめて、背中をとんとんと撫で、なだめる十兵衛であります。
十『どうどう…』
馬をなだめるのとおんなじ。
美影ちゃん、それでもって落ち着いて参りました。
美『ひどいじゃないですかあ〜十兵衛さま〜』
と、十兵衛の胸で泣く美影ちゃんであります。
十『おーおー、おま、どうやって又たち巻いたの?』
美『煙幕…』
映画ならここで【回想】画面がはいります。
ボーンと煙幕玉を地面にたたきつけ煙幕を張って又十郎柳生組を巻く美影。
「うわーーー」と又十郎柳生軍。
てな感じ。
十『さすが煙幕美人の美影ねえさん。あれは? 妙なごろつき侍たち。あいつらはどうやって巻いたの?』
美『煙幕…』
【回想】
ボーンと煙幕玉を地面にたたきつけ、煙幕を張ってサナーダ10Jr.を巻く美影。
「うわーーー」とサナーダ10Jr.
十『美影ちゃんの煙幕はたいしたもんだねえ〜』
美『ほしたら今度はやくざ一家だしい〜』
十『そうそう、やつらはどうやって巻いた?』
美『煙幕…』
【回想】
ボーンと煙幕玉を地面にたたきつけ、煙幕張って猪吉一家を巻く美影。
「うわーーー」と猪吉一家。
まあ、おんなじスタイルであります。
十『美影ちゃんは煙幕使わせたら右に出るものはいないなあ〜。さすが柳生忍軍切っての美人くの一!』
美『いい子いい子して下さいっ』
十『え?』
美『いい子いい子っ!』
ほっぺた膨らませて頭を突き出す美影ちゃん。十兵衛、美影の頭を「いい子いい子」となでてあげます。
にぃ〜と顔を崩して喜ぶ美影ちゃん。
その様子をあぜんと見ている菜々、さくらでありました。
美影さん、一転、ぷーと膨れた顔になり、ばっと、十兵衛から飛び退きます。
美『大体!』
お、今度は怒ってる。
美『私を、十兵衛さまの一番弟子にして下さる約束をしていたのに、なーんで勝手に柳生を出てくわけ〜? で、ございますか!?』
十『いちばんでし? なに? そんな約束したっけ?』
美『ええ〜〜〜〜!? 覚えてない〜〜〜!?』
はい、ここで再び回想であります。
美『あの日っ!』
【回想・ここは柳生屋敷近く】
酔っぱらってる十兵衛。
千鳥足。
ささっとその前に意を決した美影が飛び出す。
美『十兵衛さまっ!』
十『なに〜?』
美『私を、十兵衛さまの一番弟子にしてくださいまし!』
十『いいよお〜』
美『本当ですか?』
十『そのかわり、チューさせてえ〜』
美『え〜〜〜〜〜〜〜!?』
というところで【回想】終わり。
さ『サイテーだ…』
十『言ったかなな、そんなん…』
美『言いましたっ!』
十『まるで覚えてない…この生真面目一方のオレがそんなこと言うはずないと思うんだが…』
美『言ったの!』
さ『あんのう〜、ちょっとお話に割り込ませていただきます〜』
美『ん?』
さ『そんで、その…美影さんとやら、アンタ、実際、チューは…』
さくらの言葉に美影さん、顔を真っ赤にさせてはにかみます。
さ『させたんかい!』
十『したんかっ!』
さ『(美影に)あんたもあんただわ』
美『だってえ〜っ』
さ『一番悪いのはこのサイテー男だぞコラ柳生十兵衛!』
十『って言われても覚えてないからなあ、これっぱかしも…』
さ『天下に知られた柳生十兵衛が、ただのパワハラおやじだったとはなあ〜、がっかりだねえ〜』
十『おいおい、人聞き悪いコトを言うな…』
美『ああ〜〜〜〜〜ん』
十『おいおい、泣くなよ』
さ『弟子にしてやんなよ柳生十兵衛〜、可哀想に…』
十『弟子とかそういうの面倒くさいんだよ』
さ『自分のやっちまったことには責任とんな』
十『ええ〜、責任取るんだったら、やったの覚えていたかったなあ〜』
さ『どすけべ』
十『どすけべ言うな!』
さ『四の五の言ってないで、してやんな、二番弟子に…』
美『え? なんで二番弟子? 一番弟子は?』
さ『アタシ』
さくら、そう言って腰に差した三池典太光世を美影に見せる。
美『ああ〜〜〜〜〜っ! 十兵衛さまの刀!』
さ『えっへん、もらった』
美『もらった?』
美影、十兵衛きっと睨みます。どきんとクビをすくめる十兵衛。
美『どうゆーことですか!? こんな何処の馬の骨かも分からないちんちくりんな旅烏になんでこんな大事な刀あげちゃうわけ?』
さ『ちんちくりんてなんだよ!』
十『ははは、まあ、いろいろな経緯がアリでだな…』
菜『いろんな人とチューするんですね…』
にっこりと菜々がいきなり話に入って来ます。
美『え?』
十『あたた…、キミはまた何を言い出すの?』
美『いろんな人とチュー? 誰と? 誰とチューしたんですか!?』
十『してないしてない、まだしてません!』
美『まだって!? ていうか、この子ナニ?』
さ『柳生十兵衛の愛人…』
美『十兵衛えーーーーーっ!!』
十『違う違う!こらっ、へんなことゆーな!』
菜『まだ違いますよ』
美『まだってえーーーっ!』
十『キミもややこしい言い方すんなって! まだももうも後ろも前もないのっ!』
菜『でも、ずっと一緒にいるって言ってくれました』
美『ずーっと一緒にぃ〜!?』
十『ずっとは言ってないだろずっとはっ!』
美『なあにぃ〜、言ったの? 言ってないのお〜?』
菜『十兵衛さま…』
十『え?』
菜『私も一番弟子い〜♡』
十『ええ?』
美『な、なんであたし以外全部一番弟子なんだよっ!』
柳生十兵衛と三人の娘たちのやり取りを微笑ましく見ているおばん29歳でありました。
◉155
ですがこの時、はしゃぎながらもある特別な感情で十兵衛を見る菜々に、さしものおばん29歳も気づかなかったのであります。
そりゃ気がつかんわなただの茶屋のおばんでございますから。
一方その頃、その賑やかおばんの茶屋にわりと近いところに、柳生又十郎が、なんだかエラそうに腕を組んで仁王立ちしておりました。なにやら不機嫌なお顔。
そんな又十郎の元に又十郎柳生軍がバラバラと駆け寄ります。
そのうちのひとり尾崎幹三郎が厳かに頭を下げます。
尾『見当たりません』
なんだか役に立たなそうな報告。
又『さほど遠くへは逃げておらぬはずだ。草の根分けても探し出せっ!』
こちらもさほど効率の良いと思えない指示をする。
柳生軍『はっ!』
とまあ無駄な集合をした柳生軍は再び散ります。
ひとり残る又十郎。
又『兄者、兄者のお命、この又十郎が戴きまする…』
わかりやすく独白をして又十郎もハケます。
そのまた近くにはサナーダ10Jr.なサスケの介が、これまた腕を組んで仁王立ちしておりました。
サスケの介の元に、バラバラと駆け寄るサナーダ10Jr.であります。一歩出て恭しく頭を下げたのは頭空っぽのイケメン男霧キリ丸でございます。
霧『見当たりません』
霧キリ丸も使えない報告を致します。
サ『さほど遠くへは逃げておらぬはずだ。草の根分けても探し出せっ!』
これまた発展性のない指示をするサナーダ10Jr.のリーダーサスケの介が
サナーダ10Jr.『はっ!』
去りゆくサナーダ10Jr.たち。
サ『菜々姫よ、真田のお宝はこのサスケの介率いるサナーダ10Jr.が戴きまする…』
と、サスケの介、無駄な独り言を吐き、その場を走り去りますが、何かを思い出してカメラの前に戻って参りました。
サ『あ、それと、徳川幕府を倒し、我等が、天下を支配するのだ、ふはははははははっ!』
はい、OKです。と、スタッフの様に言いたい感じ。
さてそれではカメラを茶屋に戻しましょう。
♩〜
おや?なにやらリズミカルな音楽が聞こえて参ります。
見ると、お茶屋の前の広場に、十兵衛を先頭にして、菜々、美影、さくらが並んでおります。
♩〜
どうやらリズムに合わせて十兵衛、棒切れで剣の握りを美影たちに教授しているようでございます。
♩    柄(つか)はこうして
        こうして握る
  わんつーわんつー 降り下ろし
  斬り上げ 袈裟斬り 
       わんつーわんつー
  抜き胴 山形 
       わんつーわんつー
十『もういっちょー』
♩    柄(つか)はこうして
        こうして握る
  わんつーわんつー 降り下ろし
  斬り上げ 袈裟斬り 
       わんつーわんつー
  抜き胴 山形 
       わんつーわんつー
なるほどこれぞ踊る柳生十兵衛♩
柳生ブートキャンプとも言えましょう。ちょっと古いけど。
見ている29、茶屋のおばん。一緒になって踊ってる。
お『こいつぁいいね、若返る。美容体操にばっちりだ。そうだっ』

リズムに乗っておばんたら、お茶屋の表に「柳生十兵衛の柳生美容剣道場」の看板作って立てます。
途端に集まる江戸時代の女子たち。
柳生流が剣術エクササイズになっちゃった。
♩    わんつーわんつー 降り下ろし
  斬り上げ 袈裟斬り 
       わんつーわんつー
  抜き胴 山形 
       わんつーわんつー

  柳生十兵衛の美容剣術―
  新陰流の流れ汲む
  由書正しい剣術美容―
踊る柳生流が続きます。

お『あんたコレは案外ナイスな事業だよ
柳生十兵衛の柳生美容剣道場で儲かった銭を入れた函を抱えてほくそ笑むおばん29であります。
お『アンタ、このまま続けておくれよ、ウチもうかるよ』 via TheWorld for iOS 
十『ははは、まあ、もうかるのはいいとしても、あんなんで剣術がうまくなるはずがないしなあ…、美貌にいいってのもちょっとはったりっぽいし、それに、あんまり、柳生十兵衛の名前は使いたくないんだよ…』
と、柳生十兵衛。
お『そうかい…もったいないねえ』
十『明日からはまたきままな旅に戻るよ、オレは』
そういう十兵衛に、おばんもそれ以上は野暮な引き止めもせず、分前を十兵衛に差し出します。
お『ほれ、もう食い逃げなんかすんナヨ、天下の柳生十兵衛が』
十兵衛、その金をほとんど戻してほんのひとつまみだけ懐に入れて立ち上がる。
十『のんきな名なしの素浪人さ、すかんぴんがお似合いのな…』
そう言いながら夜の庭先にふらりと出て来た十兵衛でありました。
空には明るい月がぽっかり。
十『ん?』
見ると、菜々が、ブートキャンプを懸命におさらいおります。ただ、ひょろひょろでさまになっておりません。
十兵衛、にっこり笑ってそれを見る。
十『随分熱心だなあ…』
十兵衛、出て行って声でも掛けてやろうと思った時、菜々の只ならない表情に気がつき、思わず足を止めました。
十『ほお、あれは相手を想定している目だな。誰かを斬ろうとしている目だ…』
うーむ…と十兵衛、菜々に殺気に近い気迫を感じるのでございました。
その時……。
菜々に近づいて来たのは美影ねえさんでありました。
その場に身を隠す十兵衛であります。
菜々、美影の姿を見た瞬間に今までの気迫の表情がほぐれました。
菜『あ、美影さん、ねえ、ここが良くわからないの、教えて』
美『え?』
美影ねえさん、いきなり菜々に気安く言われて戸惑います。
美『わ、私もソコはちょっと苦手…』
菜『だって、美影さん、柳生なんでしょ?』
菜『十兵衛さんの一番弟子なんでしょ?』
美『なりたいと思ってるだけで…』
十兵衛、聞いております。
美『柳生もいろいろあって、私は、忍術の方…』
菜『くの一ですか?くのいちせぶんですか?』
お隣の読みものと混ざっちゃったよ。美『柳生だけど…』
美『習ったのは剣の修業より忍術ばっかりでね…』
菜『忍術もかっこいい…』
美『かっこいいかなあ〜』
菜々『…様な気がするけど…』
美『かっこよくないよ…私、正直言って、忍術の中でも煙幕玉しか出来ないんだよ…』
菜『えんまくだま…? あの、縛られても間接外して逃げる方法とかは?』
美『ああ、そういうのは基本だから出来るよ…』
菜『すっごーい! 出来ちゃうの?』
美『ま、まあ、そのくらいはね…あれは関節外すとかそう言うんじゃなくてカンタンなんだわ、こうやってこうやって…』
美影、ちょっと乗せられて良い気分になっちゃって菜々に、手首の返しとかをやって見せておりまする。
菜『教えて?どうやるの?』
美『えっとね、ここまで返したらこいやって…』
菜『痛っ』
美『あ、力入れちゃダメ』
などとふたり楽しそうにやっているのを物陰でじっと聞いてる柳生十兵衛でございます。
美影がふと、手を止めます。菜々、そんな美影を見ます。
美『…私は…十兵衛さまの剣に、小さい時から憧れてた。それで、直に十兵衛さまにお願いしたの、剣を教えてくれって…』
菜『…』
美『そしたら、いいよって…キミ可愛いからOKって…』
聞いてる十兵衛、あちゃあ〜となる。
菜『で、チューも?』
美影さん、ぽっと顔を赤らめる。
美『う…うん…いや、いいんだ、別に、チューは…』
菜『ん?』
美『初チューが十兵衛さまで良かったから…』
菜『ほ……』
聞いてる十兵衛、も一度あちゃあ〜となります。
美『菜々ちゃんは…』
菜『え?』
美『何者なの?』
菜『なにもの?…何者なんでしょう?』
美『え?』
菜『何者なんでしょうね…?』
美『…何者なんでしょうねって…知らないってコトじゃないでしょう?』
菜々、うなづきます。
菜『…私は豊臣秀頼の娘です』
美『ええっ!?』
美影、思わず引いて構えてしまいました。
美(敵っ!)
菜『って…言われました…母に…』
美『あ…』
菜『母は、普通の山のオンナです…私も…ずっと、山の中で暮らしていました…』
美『お母上と?』
菜『はい…』
美『お母上は?』
菜『……』
美『……』
菜『私は…豊臣家の埋蔵金の地図を持っているんです。それで、徳川方の柳生と、豊臣方の過激派って言われているサナーダ10Jr.両方から狙われている…』
美『そ、そうなんだ…』
菜『そこを十兵衛さまに助けられたんです…』
美『ああ…そう…そうなんだ…はあはあ…埋蔵金の地図って…も、持ってるの? 本当に…』
菜『持ってます』
これには十兵衛もぴくんとなります。
十『持ってるんだ……』
美『言っちゃっていいの?』
菜『なんでですか?』
美『柳生だよ、私も…』
菜『斬りますか?』
美『う…、き…斬らないよ私は…そういうのあんまり関係ないし…じゃ、別に、十兵衛さまの…愛人…てコトないのね』
菜『そっちですか?』
美『…じゃないんだね…?』
◉188b
菜『十兵衛さま、大好きです』
美『ぬおっ!』
美(敵!)
十兵衛、思わずバンザイしてしまいました。
美影がちょっとヤケクソ気味で立ち上がります。
美『…さっきのとこ、私も練習しよちくしょー』
菜『ワタシもワタシもっこんちくしょー』
美影、菜々とともにまた同じところを練習いたします。
そこにやって来たのはさくらであります。
さ『あ〜、なにふたりで仲良くやってんの? 混ぜて混ぜて!』
三人で柳生ブートキャンプが始まります。
菜『私たち大分強くなってますかね』美『そりゃなってるよ一番弟子3人娘っ!』さ『柳生新陰流の渡世人〜♪』
十『ばっかだなあ…あんなんやってもどうにもならないのに…』
笑って見ている柳生十兵衛でありました。
A『やいやいやいやいやいやい!』
と、そこにやって来たのは…あ、忘れちゃった人もいるかしら?
昼間、さくらとチャンバラやってたガラの悪い連中。猪吉一家。Aと言うのは猪吉子分A助のことであります。
さ『来やがったな、いんちき一家!』
さくらが威勢良くがなるのでありました。
B『いんちきじゃねえ、「猪吉一家」っ!』
あくまでも律儀に訂正する子分Bであります。
A『やいこのやろっ! 今度という今度は逃がしゃしねえぞっ!』
さ『ああ、逃げやしねえよ、いんちき一家!』
B『だーかーらー「猪吉」っ!』
さ『どっちでもいいわっ!』
笠間の猪吉『どっちでもいいとはなんてコト抜かすんじゃいっ!』
凄みを聞かせて現れ出たのは、そのいんちきな猪吉一家の親分、笠間の猪吉でございます。
猪『てめえ、よくも舐めた真似をしてくれたな』
さ『はあ、出たな、おめえがこのいんちき一家の親分かっ?』
B『「猪吉」っ!』
A『ヤイこの三下おんな! 耳の穴かっぽじって良く聞け! このお方はな、この街道筋じゃあちったあ名の知れた猪吉一家の親分、その名も笠間の猪吉親分だ! 覚えておきやがれ!』
さ『いかさまのいんちきだあ?』
猪『いかさまのいんちきぃ〜〜〜〜!!???』
B『だ〜か〜ら〜、耳掃除しろって言っただろうがあ! いいかっ! 「笠間の猪吉」!』
さ『どっちでもいいって言ってんだよ! いかさまでいんちきなのは同じじゃねーか! やい、お前らはいずれこっちから出向いてドブさらいしてやろうと思ってたんだよ!
こっちこそ今度と言う今度はね、この桜吹雪のさくらねえさんがっ!』
なんだか威勢のいい啖呵を切るさくらねえさんが、ぶわっと腕をたもとに引っ込めたかと思ったら、懐から襟元に大きく腕を振り上げて、威勢良く上半身の着物をはだける。もろ肌さらけ出すさくらでありました。
あ、ちゃんと胸にはきりりとさらしを巻いてますから乳がぽろんなんてコトはござんせん。そこのおとうさん、残念がらない(^^;; そういうのは多少『くのいちせぶん』でやっております。
さて、そのさくらねえさんのもろ肌には、なんと舞い散る三枚の桜の花びらの入れ墨が
びやーっと派手に…と、思ったら、いやいや、肩にちんまりと可愛らしく三枚であります。
ええーっ?
美影、菜々もそれ見てあんぐり。
十兵衛も物かげから見ております。
さ『この桜吹雪が目に入らないかいっ?あんたらの胴と頭を泣き別れにしてやるから、覚悟しなっ!』
と、すっかり遠山の金さんの遊び人姿の決め口上のテイでカッコつけます。
ぶーーーっ!
思わず、その半端な(可愛い)入れ墨に吹き出す十兵衛であります。
十『…可愛い…』
猪吉親分はじめ、猪吉一家も一様にそのさくら三枚に見入りますが…
猪『目に入るかそんなもんっ!』
A『目立たなすぎでぇっ!』
と、一斉にドスを抜きます。
さ『おわっ?びびらねえのかよっ!抜きやがったなあ〜っ!』
さくら、ここぞとばかり、十兵衛からもらった三池典太光世を抜こうとしますが、やっぱり抜けません。
さ『と…ああもう、肝心な時に抜けないなあ〜っ!』 
そこに、茶屋のおばんがささっと登場。
お『お前さん、コレ使いなよっ!』
茶屋のおばん(29)が、さくらにすりこ木投げてやる。
さ『(受け取って)あ、ありがとうよおばちゃん』
お『こいつら常日ごろから威張り腐っちゃあ、おれっちらの上前はねてのうのうと生きてる虫けらだからね、やっつけちゃっておくれよ!』
さ『へっへー、わかったよおばちゃん』
お『29さいだけどなっ』
猪『虫けらたあ抜かしやがったなこのばばあっ!』
お『29さいだっちゅーてるだろっ!』
ぴしゃん!
おばん、猪吉に一気に近づいたと思ったらいきなりのビンタをかましてピューと逃げます。
猪『あいて、ちきしょう!』
不意をつかれた間抜けな親分であります。
美影、菜々も立ち上がります。
美『私たちもさくらちゃんに加勢っ!』
菜『します』
美影、菜々もレッスン用の棒切れ持って、さくらの両脇に立ち、びしっとポーズ。
おっと、ちょっと古いがチャーリーズ・エンジェルっ!
『ひぃ〜』とのまれて、案外おびえる猪吉一家でございます。
十『カッコだけは決まってるなあ』
と、くすくす見ている柳生十兵衛。いざとなったらいつでも飛び出して加勢するつもりではございます。
猪『しゃらくせえっ! てめえらやっちめえ!』
『おーっ!』と答えて猪吉一家がドスを抜き放ちかかり行くっ!

チャンチャンバラバラ砂ぼこり
斬ったら血が出るターラタラ
御用の提灯ブーラブラ

なんて、活動写真のような乱闘が始まったのであります。

ポカリっ!『あ痛っ』ポカリっ!『あ痛っ』
チャーリーズ・エンジェル フルスロットルな三人娘、菜々、美影、さくら、けっこうばりばりかっこよく、次から次へと猪吉一家をぶっ叩いております。オンナ三人の剣劇はなかなかの見物。それを観ていた柳生十兵衛。
十『ほほお、結構強くなってるなあ…アレ、効果あるンだなあ…』
などと呑気に言ってると、ポカリっ!
十『あ痛たっ!』
いつの間にか横にいたおばんに頭をひっぱたかれた十兵衛であります。
お『あんたナニぽかんと見てるんだよ。女の子が危険な目にあってるのにこんなところで高見の見物なんてそれでも男かいっ』
十『ああ、わかったわかった、はいはい』
十兵衛、もっさりと出て行きまして、参戦いたします。
といっても、女の子達にポカリとやられた猪吉たちをさらにもうひとポカリやる程度。
そんな呑気なポカリ剣劇をやっとおりますと、
ゆらりと登場するイカつくヤレた用心棒の先生。どうせその辺の食いっぱぐれ浪人ではありましょうが、それでもおサムライの端くれ、
さくらに向かい振り下ろす剣はスピードと鋭さが違う。
さ『おじゃひぃ〜』
思わずおじゃを付けた悲鳴をあげるさくらであります。
がっ!振り下ろすその腕を掴みそのまま捻り込んで用心棒の体ごと地面に転がせたのは十兵衛でありました。用心棒の先生『あひん』と可愛い声を発して尻もち。

一方、菜々が、親分猪吉の首根っこをひっつかまえた。用心棒からの攻撃を切り抜けたさくらがその猪吉の腹に思い切り蹴りを入れる。
猪『ぐあひいっ!』
美影、すかさず棒を捨て、自分の剣を取り、抜き放ち、猪吉の鼻の下にびしと付けました。
美『さくらちゃん、斬っちゃおうか?』
さ『ああ、そうだねえ…でも、ただ斬るのはもったいないねえ〜。随分と気質の衆に迷惑をかけたみたいじゃない…』
菜『あ、じゃあ、まず鼻を落として、次に目をくりぬいて、それからえーと、あ、耳をそいで、みなさんに与えた苦しみを味わいながら死んでもらうというのはどうですか?』
可愛い顔して菜々が言う。
猪『ひい〜』
A『残酷……』
子分A、想像して気絶してしまいました。気の弱いヤクザもいたもんだ。
美『そりゃいいねえ〜』
さ『その辺の道にさらして、そのお仕置きをこいつらにいじめられた町の人たちにやらせてあげたいねえ〜』
お『ああ、そりゃいいねえ〜』
B『残酷…』
Bも想像して思わず気絶と来たもんだ。
猪『い、命だけはご勘弁を〜』
美『ダメっ!』
美影、容赦無く言ったと思うとしゅぱっーっと剣を一振りいたします。
猪『ひいいいい〜〜〜〜!!』
死んだかと思って悲鳴を上げる猪吉親分
ぽっとん。
地面に落ちたのは猪吉の首…ではなく、ちょっと縮れたちょんまげ。と、あと髪の毛全部。
おや?
見ますれば、キレイにスキンヘッドになっている猪吉親分でありました。
美『…と、言いたいところだけど、頭を丸めて反省するなら許してあげます』
猪『はい〜〜〜〜っ、反省します〜、ひ〜っ!』
すっかり弱って這いつくばって頭を下げる猪吉親分。さっさと逃げ出そうとするところを、さくらがもう一度ひっつかまえました。
さ『でも、髪の毛生えてきた頃に又悪さ始める可能性あるよ、やっぱりここで斬っちゃおう、斬っちゃって、美影ねえさん』
美『そう? 斬るのは一向に構わないけど…』
美影、仕方ないという感じで刃を猪吉のハゲた頭の上に乗せる。
美『斬るか』
猪『ぜってえ〜しねえ〜! ぜってえしねえよお〜!』
さ『信じられない、ねえ、おねえさん』
と、これはおばんという名のおねえさん(29)の方に言うさくらであります

お『信じられねえ、後で闇夜の道でいきなり仕返しにグサリなんてやられたらたまらないよ、おねえちゃん、斬っちゃって斬っちゃって…』
猪『おおおおおおおれの目を見てくれ! このキレイなオレの目え〜〜〜〜!』
こんなやつのめ江戸かふぇがキレイな訳がない。
さ『きもっ!』
菜『あの、では中を取って…』
美『ん? 中を取って?』
菜『はい、腕一本と足一本落とすくらいにしておいたらどうでしょうか?』
他の猪吉子分達『(想像して)残酷〜(気絶)』
猪『うお〜〜〜〜っ!』
突如、猪吉、狂ったようにさくらをもはね飛ばして立ち上がり、諸肌脱ぎ、どすんとあぐらをかいて座り込んだから、一同びっくりでございます。
猪『ええーい、やってくんねえ!』
さ『へ?』
猪『そんなちまちま腕だの足だの言ってねえで、ひと思いにぶった斬ってくれいっ!』
さ『ほ…』
猪『どうしたいっ!? おれがもうぜってえしねえって言ったあの言葉がウソじゃねえってコトを、この命と引き換えに証を立てようじぇねえかいっ! オレも仁侠に生きる男だ! もうじたばたなんてするけえっ!』
さ『ほお〜、悪モンのくせに言うじゃないかい』
美『さくらちゃん…?』
さくら、美影ににっこりしてから、猪吉に向かいます。
さ『よし、わかったぜ、おめえがそこまで言うなら、行くぜっ!』
さくら、美影の剣を受け取り、すぱっと振り下げます。
猪『たはっ!』
ま、とりま、身を縮める猪吉親分。
さくら、剣を振り下ろしますが、猪吉のハゲ頭スレスレでキュッと止めたのであります。
十『…ほお…』
十兵衛、なにげにその腕の上達を見て感心したりしてます。
猪吉の方、目をつむっておりましたが、やがて、そっと目を開けました。
自分が死んでない事に気がつき、ぷはっと息を復活させる。
猪『へ?』
さ『ホンモンだな親分。よく逃げなかった…』
猪『あ…あ…あたぼうよ…』
さ『信じたよ、笠間の…』
と、さくら、パチンと刀を納めます。
助かった猪吉は、さくらに土下座。
猪『ねえさん、オレのこの命はおめえさんに預けたっ! オレだけじゃねえ、猪吉一家丸ごとねえさんについて行くぜ! 野郎ども起きろっ! 今日から俺達はいい猪吉一家になる!』
子分達、言われて気絶から覚めて起き上がり、キョトンとしております。
子『ええ? いつの間にそんな風になったんですかい?』
猪吉一家、ぱきっとキレイに並び、丸ごと、さくらに従順のポーズを見せる。
美影、さくら、菜々、十兵衛に向かって、ガッツポーズ。
美『十兵衛さまっ! どう? 私たちの上達ぶり!』
これには十兵衛も手を叩く。
十『いやあ、立派なもんだ、大したもんだ。免許皆伝だなあ』
美『ホントにっ?』
十『ああ、あんないい加減な体操でこれだけの真似が出来るとは、教え方が良いんだなあオレの…』
美『あんないい加減?』
十『ああいや、良い(いい)加減に上達したってコトだ。もう教える事はひとつもない。「十兵衛美容剣」卒業と行こう』
さ『なんか調子良くないかこの柳生十兵衛〜、なんかあんだろ、もう少しさ』
十『なんか?』
さ『ほら、その“極意”とかなんとかよお〜、そういうのまだ聞いてねえぜ』
十『そんなもんないない、漫画じゃあるまいし…』
さ『ないのかよ〜、しょぼ…』
なんてことで、見事、街道のダニを改心させた十兵衛とチャーリーズ・エンジェル…あ、この際ジューベーズ・エンジェル…でございました。
その翌朝の街道でございます。
柳生又十郎の元に、バラバラと駆け寄る又十郎柳生軍でござました。
尾『見当たりません』
配下のひとり、尾崎幹ノ進(だっけ?あんまり久しぶりなんで忘れました)が言う。しかも、ずっと探してたのかよっ!
又『一晩中探しても見つからぬとは…兄者の隠密術であろうか…引き続き、草の根分けて出せっ!』
いやいや、あんたたちがかなりのボンクラ。
柳生軍『はっ!』
熱血に答える柳生軍、ふたたび散ってゆきます。
又『兄者、豊臣の娘と…もしや、徳川に対し、謀反を起こそうというおつもりかも知れぬ…いや、そういうことにすれば、兄者のお命、この又十郎戴く理由が明確になる…』
などと忘れられないように目的などもさりげなく独り言で言い、走り去る又十郎でございました。
一方、その近くに、サスケの介が仁王立ちしておりました。
サスケの介の元に、バラバラと駆け寄るサナーダ10Jr.の面々。
こっちは多少寝不足でつらそうな顔をしている。
海『み…見当たりません』
海野六蔵が眠そうに報告。
サ『一晩寝ずに探してなぜ見つからんのだ! ううむ、者共っ!』
Jr.たち『はっ!』
サ『寝ようっ!』
Jr.たち『はっ!』
ざざっと手早く寝袋出して、その場で素早く寝入るサナーダ10Jr.たち。
うん、その方がいいよ。無理すんな。
サスケの介、既に眠りこけている。なにやらむにゃむにゃ寝言を言います。
サ『むにゃ菜々姫よ、真田のお宝はこのサスケの介率いる真田十勇士ジュニアが戴きまするぞ…』
以上、この後もなかなか出てこないので忘れられないように出しておきましたふた組の追っ手の実況でございました。
おや、サスケの介、まだなんか言ってる?
サ『あ、それと、むにゃ、徳川幕府を倒し、我等、伊代様のあれのあの…幸之介様が、むにゃ…天下を支配するのだ、むにゃむにゃ…』
はいはい、おやすみ。

さて、一夜が明けました。
空はからりと日本晴れ。街道を行く柳生十兵衛でございます。お供は菜々、美影、さくらのジューベーズ・エンジェル、そして改心したばかりの猪吉一家。全員たいそう嬉しそうな顔をしてついて歌なんぞ歌ってる。
猪吉一家『空は〜晴れ晴れ 俺たちは〜んがあんがあん♪
今日からとってもいいやくざ〜♪
笑顔の素敵な いいやくざ〜♪
十兵衛アニキに ついてくぜ〜♪』
その歌も含めて十兵衛アニキはやや汗たらでございます。
十『いつの間にこんな大所帯の旅になってるんだよ…』
菜々がさっと十兵衛の横に来て、十兵衛の袂をつかんで歩きます。あらま、菜々ちゃん、積極的。
十『およ?』
菜『だめですか?』
十『ん〜〜〜〜、いいよ』
いいのかい?
菜々、ほっと嬉しそうでございます。
だがしかし、ソレを見た美影ねえさんが、かちんと来た。
美『なんだよあの子はっ おかしくないかいアレって?』
と、隣のさくらに文句を言う美影ねえさん。
さ『は? そお?』
なんだかばててるさくらねえさんはどうでも良さげに答えます。
それもそのはず、さくらねえさん、左の腰に十兵衛からもらった三池典太光世、右にさくらの子分となることを誓った証に猪吉一家からもらったドスを差しております。そりゃ重たい。足を引きずっております。そして様にもなってないよ両腰に刀って。
一方、足どり軽い菜々ちゃん。
菜『楽しい…』
十『え、楽しいのか?』
菜『楽しい…いっぱいいて♪』
十『ああ…確かになあ〜いっぱいいるわ』
菜『ずっとひとりだったから…』
十『そうか…』
そうなのかと思いつつも、まあ立ち入ったことは聞かない主義の十兵衛でございました。
菜『今は楽しい♪』
十『そうか…オレは、ひとりがよっぽどいいがなあ…』
さくらが、へとへとと十兵衛の横に来ます。
さ『柳生十兵衛〜、このでっかい刀返すよ。重くてしょうがねえ。オレは猪吉にこのドスもらったからこれでいいよ』
十『そういうな、二挺剣ぶっ差しのさくら姐さん…なかなかいない鯔背な旅烏じゃないか、似合ってるよ。オレは腰のものがなくなって清々してるんだ』
さ『ええ〜、そうなのかよ〜』
がっくしうなだれ、歩足がもつれてよろよろと、また後方へ戻るさくらねえさんでありました。
菜々は、なぜだかさくらの腰の三池典太光世が気になる様子にございます。するりと十兵衛の袂を抜けるとさくらの横に行きます。
十『ん?』
まんざらでもなかった十兵衛、ちょっとさみしい?
菜『さくらちゃん、それ、ちょっと持ってみたい』
さ『菜々が? おお、いいよいいよ、ほり』
さくら、渡りに舟で菜々に三池典太光世を渡します。
受け取る菜々。
あら重い。ずしりと腕が沈みました。
それでも、興味深そうにいろいろ眺めたあと、差してみる菜々であります。
ふーむ、ふーむ。
誰より小柄な菜々にはちょっと不恰好。しかも刀など差したのは初めてでございましょう。慣れなくて歩きにくそうな菜々ちゃんであります。
十兵衛、ちょと振り返りそんな様子を見ております。
菜『重〜い』
さ『「重いだろー』
菜『重おーい』
さ『重いんだよ』
菜々、その刀を差した恰好で再び十兵衛の横に参りまして、刀を指している自分の姿を嬉しそうにアピールしております。なんと可愛い。
思わずほっこり苦笑してしまう十兵衛でございました。
と、そんな呑気な道中ながら、十兵衛は、時折、道の両サイドの気配を気にしております。
又十郎柳生組とサナーダ10Jr.の偵察者の気配は……ないようでございますな十兵衛どの……。
いや、待ちなされ。
十兵衛、前方に気にとられます。
前方から、編み笠の侍がやって参ります。
十兵衛、その侍から…いや、特に殺気は感じられず、ほっと小さく息を吐きました。
侍、十兵衛一向とすれ違う形になります。
十兵衛、そんな侍をやり過ごしますが…。
すれ違った後で、その侍、ツト、振り向き、十兵衛の背中を見つめておりました。
侍『柳生…十兵衛…』
そうつぶやく侍・五味睾之介でありました。
おっと、なんでございましょうか、新たな登場人物を加え、ますます先が読めなくなって参りました『踊る!柳生十兵衛』でございます。


| 大地丙太郎 | 踊る!柳生十兵衛 | 10:31 | comments(0) | - |
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